相続分に納得いかない場合は弁護士に相談

代表弁護士 髙橋 史記 (たかはし ふみき)

「相続分に納得いかない」このようなお悩みを抱えていませんか。「自分の権利が侵害されている」「相手の言い分に納得できない」様々な問題があるかと思いますが、「法律」はきっとあなたの味方になってくれるはずです。法に則った客観的な権利主張と裁判手続きを行える力、ここに弁護士の強みがあります。

今回は、相続分に納得いかない方のために、皆様にどのような権利が認められているかについてお伝えします。

相続の基本は「法的相続分」で行なうこと

故人の遺言書が残されていなければ、共同相続人は「遺産分割協議」を行うことになります。ここで用いられるのが「法定相続分」です。

遺産分割協議では各人の取り分を自由に決められることになっていますが、とはいえ目安となる割合が民法によって定められています。これが「法定相続分」です。原則的にこの割合に従って相続を行なうことが基本となります。※各人に定められている法定相続分は以下をご確認ください。

不動産など法定相続分で分けられない時は?

しかしながら、すべての相続においてこの法定相続分が当てはめられるわけではありません。典型的なのは不動産が相続財産に含まれている場合です。不動産は現金のように綺麗に数字で分けられるものではありませんので、「分け方」をめぐりトラブルになりやすいです。また不動産には「評価額」という論点もあり、処理しづらいという側面があります。

不動産を相続する場合は分け方を工夫すること(現物分割の他にも代償分割・換価分割などがあります)、客観的な評価を用いることが重要です。問題を先延ばしにし共同相続人の「共有」としてしまう方もいらっしゃいますが、よほどの事情がない限りはお勧めできません(今後行う手続きはすべて共同相続人の同意が必要になることから、管理・処分が非常に困難になります)。できる限り専門家を交え、現段階で処理していただくことが、もっとも経済的な解決となるはずです。

不公平な遺言書が残されたとしても「遺留分」によって権利は守られる

相続人の権利の中でも重要性が高いのが「遺留分」という権利です。遺留分とは「最低限度の相続分」と言えるものであり、配偶者・子・親に認められています(第三順位の兄弟姉妹、相続欠格者に関しては認められていません)。例えば遺言書で指定された相続分が極端に少なかった場合などは遺留分侵害額請求(旧:遺留分減殺請求)を行う典型的なケースです。

遺留分侵害額請求を行う際は「時効消滅」と「遺産の範囲」に注意

遺留分侵害額請求を行うことで侵害された遺留分は取り戻すことができます。しかし「請求権の時効消滅」と「遺産の範囲」に関しては注意を払わなければなりません。

遺留分侵害額請求できるのは、侵害を知った日から1年(もしくは相続開始から10年)と定められています。手続きを先延ばしにしていると請求権が時効消滅してしまうことがあるので、速やかに対応をとっていくことが重要です。

また、遺産の範囲が正確でなければ適正な請求はできません。相続は扱う金額も大きく、算出ミスが数百万円という損失につながる可能性があります。こうした部分を鑑みると、専門家に依頼する重要性はおわかりいただけるはずです。

兄弟が優遇されていた場合は「特別受益」が考慮される

相続人の中に、特別な優遇を受けていた人物がいるケースがありますが、(住宅資金・学資・独立開業資金などなど)この場合は「特別受益」を考慮して各人の相続分の調整を図ることができます。

特別受益の相続方法は以下の通りです。

  1. 遺産総額に特別受益分の金額を加え(持戻し)、みなし相続財産とする
  2. みなし相続財産と、各相続人の相続割合で相続分を算出
  3. 受益者から特別受益分の金額を差し引く
例)遺産総額は8,000万円。相続人は兄Aと弟B。Aが生前に4,000万円の住宅取得資金援助を受けていた場合。
①8,000万円(遺産総額)+4,000万円(特別受益分)=12,000万円
②相続分:兄A:6,000万円 弟B:6,000万円
③特別受益分の調整:兄A:2,000万円(6,000万円−4,000万円) 弟B:6,000万円

特別受益に関しては様々な論点があります。そもそも特別受益と認められる性質の贈与だったのか、場合によっては証拠収集なども必要です。権利の概要だけをつまんで主張するのは簡単ですが、トラブルの火種になることはもちろん、結果不利な状況になることもあるので、弁護士に依頼し適切な知識のもと主張を進めることが賢明です。

被相続人への貢献は「寄与分」として考慮される

「自分ひとりで介護をしてきたのだから相続分が多くてもいいのでは」このようなご相談を受けることは多いです。相続には「寄与分」という考え方があり、被相続人の財産の維持・増加に関わった相続人がいる場合は、この寄与分に従って相続分を調整します。

しかし、介護が寄与分にあたるかは非常にデリケートな問題です。そもそも親子には扶養義務があるため、一般的な介護は寄与分として扱われることは難しいと言わざるを得ません。しかし、介護の形態といえど様々です。中には寄与分として認められる行為もあるため、一度専門家に相談してみることが理想ではあります。

寄与分がある場合の遺産分割の計算は以下のように行われます。

  1. 遺産総額から寄与分を差し引いてみなし相続財産とする
  2. みなし相続財産と、各相続人の相続割合で相続分を算出
  3. 寄与を行なった人物に寄与分を足す
例)遺産総額は8,000万円。相続人は兄Aと弟B。Aが生前に1,000万円の寄与を行なっていた場合。

①8,000万円(遺産総額)−1,000万円(寄与分)=7,000万円
②相続分:兄A:3,500万円 弟B:3,500万万円
③寄与分の調整:兄A:4,500万円(3,500万円+1,000万円) 弟B:3,500万円

相続問題を弁護士に依頼するメリットは?

トラブルなく相続が終わることが一番ですが、時に遺産分割方法を巡って相続人間で対立してしまうこともあります。やっかいなのは、相続は感情的な対立が非常に大きいということ。一度火がついてしまうとなかなか「スムーズに解決」というわけにはいきません。また、全く接点のなかった親族が相続権を主張してきたり、法律をよく理解しないまま水掛け論のような争いを行うことも大きなストレスです。

相続トラブルを弁護士に依頼するメリットは以下3点があると考えます。

  • 冷静に話を進められる
  • 最大の味方を得られる
  • 法的知識に基づく確かなサポートを受けられる

弁護士に依頼すると冷静に話を進めることができる

弁護士が介入するメリットとして「冷静な第三者として間に入り、スムーズな解決ができるよう尽力してくれること」が挙げられます。

遺産分割協議が円滑に終わることが一番ですが、必ずしも全員の納得を得られるわけではありません。「もっともらいたい」「これ以上渡したくない」など、相続分をめぐるトラブルになることもしばしばです。さらに、単純に多い少ないだけでなく「感情のもつれ」も含まれることから、一度トラブルになるとなかなか個人間での解決が難しいという側面もあります。

こうした難しい場面にも代理人として介入できるのは弁護士の強みです。相続の専門家は他にも司法書士・税理士など複数いますが、代理人としての活動が許されているのは法律上弁護士のみです(他の士業が代理人になることは違法)。冷静な観点と法律に則って適切な決着へと落とし込むことができますし、個人間で話し合うより早期決着になりやすく、ストレスを長期間抱える必要もありません。経済面と精神面、両方から見ても弁護士を入れるメリットは大きいと言えるでしょう。

弁護士という最大の味方を得ることができる

相続は人生でそう何度とあるものではないですから「どこから手を付けるべきか」「どのように進めれば良いのか」など、いろいろと調べながら進めるケースがほとんどかと思います。

しかし、相続に関わる法律は複雑であることはもちろん、本やネットには一般的なことしか書いておらず、自分には当てはまるのかどうかわからないというケースも多いです。そのような状況下では、やはり相続に詳しい当事務所までご連絡いただき、法的に正しくスムーズな手続きを行うことを強くおすすめしています。

弁護士であればネットや本を見ただけではわからない、個別事情に落とし込んだ戦略を提案することができます。また、親族関係をよく考慮した上で、最善と思われるアドバイスを行うのが当事務所の方針です。その場しのぎの解決ではなく、長い目で見た時にトータルで依頼者の利益を確保するのが弁護士の責務だと考えているからです。特に相続は親族を相手にするわけですから、関係性を配慮した戦略をとる必要性は高いです。長期的視点にたち、トータルでより良い解決が期待できることは当事務所にご依頼いただくメリットのひとつになるかと考えます。

法的知識に基づく確かなサポートを受けることができる

何とか相続問題を解決させようと、自力で情報を集め交渉に臨む方もおられますが、ネットの情報は一般論に過ぎない上、間違った使い方をすると不利になってしまうこともあります。情報が使えるかどうかは相関関係(個別の事情)によって決まるものであり、全てのケースに当てはめられるわけではありません。さらに、平成31年7月には相続の法改正があるため古い情報と新しい情報を判断する力も求められます。

それを理解せず自分で話を進めた結果、余計に争いを泥沼化させてしまう、さらには自分を自分で不利な立場においやってしまうケースも散見されます。

また、検索さえすれば各士業の相続サイトがたくさん出てきますが、決定的なノウハウや方法論は書いていません(商売なので当たり前です)。

せっかく自力で頑張ったのに十分な利益を得られない、さらには事体の悪化を防ぐためにも、わからないことがあれば積極的に専門家に相談したほうが賢明です。当事務所では初回60分の相談は無料としていますから、金銭的な負担も少なく利用していただけるはずです。

相続に少しでもお困りなら当事務所にお気軽にご相談ください

何度も言いますが、相続は円満に行えるのが一番です。もっと言えば弁護士に依頼せずともできることでもあります。しかし、一度トラブルになってしまった、あるいは今後トラブルになりそうというケースでは、弁護士の必要性は極めて高いです。個人間で解決をはかろうとしても、なかなかいい結果にはなりません。状況をこじらせてしまい、気づいた時にはかなり問題が複雑化している、または取れる選択肢が限られているケースも散見されます。そういった意味でも、少しでも相続に困った時点で早めに相談していただくことが重要です。

当事務所では、ご依頼者様との理解度を共有するために、難しい専門用語は使わずできるだけ平易な言葉での説明を心がけています。皆様にとって理解しやすい相談になることはもちろん、弁護士と依頼者で問題を共有することでより適切な戦略設計ができると考えているからです。

相談は電話・メールどちらでも構いません。些細なことでも構いませんので遠慮なく当事務所までご相談ください。相談やサポートを通し、少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。

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